棋力を上げる方法 — 何をどれだけやるか
囲碁は長く打っていれば自然に強くなるものではありません。何年も同じ級にとどまっている人はたくさんいます。時間の問題ではなく、何をするかの問題です。
なぜ実戦だけでは強くならないのか
対局を重ねていれば強くなりそうですが、実際にはなかなか伸びません。理由は同じ失敗を繰り返すからです。
対局中は、自分がどこで間違えたのかがわかりにくいものです。負けたという結果だけが残り、なぜ負けたのかわからないまま次の対局に向かいます。それでは100局打っても、同じところで間違え続けます。
実戦が意味を持つには、間違えた箇所を突き止める過程が欠かせません。それが検討(振り返り)です。
三つをどんな比率でやるか
練習は大きく、詰碁・実戦・検討の三つに分かれます。初級・中級なら、おおよそ次の比率がおすすめです。
- 詰碁 50% — いちばん確実に伸び、短い時間でもできます
- 実戦 30% — 学んだことを盤上で確かめます
- 検討 20% — 実戦で間違えた箇所を探します
人によって違いますが、ほとんどの人は実戦の比重が高すぎます。一日に五局打つより、二局打って詰碁を二十問解くほうがずっと早く強くなります。
詰碁 — いちばん正直な分野
詰碁をすすめる理由は、正解がひとつに決まっているからです。布石は好みが分かれ、定石は状況によって変わりますが、死活は正しいか間違いかのどちらかです。だから解いた分だけ正直に強くなります。
死活の力とは、結局読みの力です。読みは対局のあらゆる局面で使われます。石を取るとき、切ってよいか判断するとき、ヨセの大きさを数えるとき、すべてに必要です。詰碁を解くことは、実は読みの訓練なのです。
正しい解き方
- 石を並べずに頭の中で読みます。実際に石を置きながら解くのは訓練になりません。
- 正解手順を最後まで確認します。初手だけ当てて次に進んでは、半分しか学んでいません。相手がどう抵抗し、そのときどう受けるかまで見る必要があります。
- 間違えた問題は印をつけて解き直します。数日後に解き直してまた間違えたら、その型が弱点です。
- 難しすぎる問題にしがみつきません。5分以上考えても解けなければ、答えを見て理解するほうがよいでしょう。
難易度の選び方。十問中六、七問が解けるくらいがちょうどよいレベルです。全部解けるなら易しすぎ、半分も解けなければまだ早いということです。死活の基本原理そのものがあやふやなら、先に死活の基本原理を読むほうが早道です。
検討 — いちばん飛ばされがちな段階
負けた碁を見直すのは楽しいものではありません。だからたいていの人は飛ばします。ところが、実力がいちばん早く伸びるのはここなのです。
検討で見るべきこと
最初から最後まで全部見る必要はありません。形勢が傾いた箇所をひとつ見つければ十分です。
- 大石を取られた碁 — どこからその石が危なくなったのか。たいていは取られるずっと前に原因があります。
- 地で負けた碁 — どの段階で差がついたのか。序盤か、中盤の戦いか、ヨセか。
- 半目・数目差で負けた碁 — ヨセで順序を間違えたところがあります。
このサイトでは、ログインして打った碁は自動で保存され、対局記録で一手ずつ検討できます。対局記録のページで見直せるので、負けた碁はその日のうちに一度ざっと見返す習慣をおすすめします。
AIを検討に使う
ひとりで検討すると、「ここが問題だった気がする」まではたどり着いても確信が持てません。そんなときは、同じ局面からAIともう一度打ってみる方法があります。問題だった局面から打ち直して別の手を試せば、その手が本当に良かったのかを確かめられます。
棋力帯ごとに何をするか
入門 〜 20級台
ルールと感覚を身につける段階です。置き碁で何子も置いて打つことをおすすめします。最初から互角に打つと何もできずに終わりがちですが、何子か置いて始めれば碁がしばらく続くので、何が起きているのかを見ることができます。
この段階では、石を取ったり取られたりする経験そのものが勉強です。地を数えることより、ダメとアタリに慣れることが先です。
15級 〜 10級
置き石を減らしていく時期です。この帯の課題は大石を殺さないことです。詰碁を本格的に始めるべきタイミングでもあります。
初心者がやりがちな8つの失敗に出てくる癖——石をすぐくっつける、アタリばかり追いかける、生きた石にさらに打つ——をひとつずつ直していけば、この帯は比較的早く抜けられます。
10級 〜 5級
大石があまり死ななくなってきたら、次の壁は盤全体を見る目です。布石の基本で扱う大場と急場の区別、ヒラキの幅がこの帯の課題です。
ヨセを学び始める時期でもあります。この帯からは、数目差で負ける碁が増えてくるからです。
5級 〜 1級
基本はひととおり身についている状態です。ここでは判断が差をつけます。いま勝っているのか負けているのかを数え、それに合わせて安全に打つか勝負をかけるかを決める力です。
強い相手との置き碁が特に役立つ帯です。
伸び悩みを招く習慣
勝てそうな相手とばかり打つ
勝てば気分は良いですが、学ぶことがありません。勝率50%前後がいちばん伸びる帯です。負ける碁が半分くらいあるのが正常です。
早打ちする
考えずに打てば、どれだけたくさん打っても強くなりません。大事な局面では30秒でも手を止めて読む習慣が必要です。
負けた碁を見ない
先ほど述べたことです。いちばんもったいない無駄です。
定石ばかり覚える
定石の手順をいくら覚えても、理由がわからなければ応用がききません。定石入門で述べたとおり、初級・中級では定石は二つ三つで十分で、その時間に詰碁を解くほうがよいのです。
どれくらいかかるか
人によって違いますが、おおよその目安はこうです。ルールを知っているだけの状態から正しく練習すれば、数か月で10級前後までは来られます。そこから1級まではそれより長くかかり、段に上がるのはまた別の話です。
大切なのは、伸び悩む時期が必ず来るということです。何週間も伸びないかと思えば、ある瞬間に一段階上がる、という形で進みます。伸びないと感じる時期にやめさえしなければ大丈夫です。
まとめ
- 実戦より詰碁の比重を高める。五局打つより、二局打って詰碁を解くほうが早道です。
- 負けた碁はその日に一度見る。形勢が傾いた箇所をひとつ見つければ十分です。
- 勝率50%の相手と打つ。勝ってばかりでは強くなりません。
- 大事な場面では手を止めて読む。
- 伸び悩む時期にやめない。棋力は階段状に伸びます。